ドライヴ〜密室の教習車〜
「たす、けて」



 同時に、私の目から涙が溢れ、俯くと制服のパンツの上にそれがこぼれた。
 
 私、泣いてるんだ。

 でも、本当に泣いているのは、私じゃない。
 本当に助けてほしいのは、私じゃない。



「なぎさん。俺は、実は探偵だ」

 篠さんの表情は見ていないのでわからないが、彼の言葉は承知の事実だったので頷いた。

「うん。知ってる」

「そして、男だ」

「……それも知ってる」



 すると篠さんが、私の右肩を優しくポン、と叩いた。



「依頼料は延長料金一時間分で」
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