ドライヴ〜密室の教習車〜
「篠さん……」

 私は涙を止め、篠さんをもう一度見つめた。



「依頼料、とるのかよ」



「アホ。格安だぞ」

 篠さんは、着ていたワイシャツの袖を捲り上げる。

 そんな彼に、私の口はポカンとだらしなく開いた。

 この流れで、そんな展開?
 


「よし、依頼成立だな。仕事だ」

「オイオイ」

 なんとなく納得のいかない私を若干無視しつつ、篠さんが歩き始めた。

「ちょっと、篠さん? どこ行くんですか」

 慌てて追いかける。
< 33 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop