ドライヴ〜密室の教習車〜
「ところで。公史、凶器は?」
「凶器となった刃物について、詳しくは今、調べている最中だ。だけど、指紋はついてなかったよ。拭いとったようでもないし、たぶん手袋でもしていたんだろうな」
技能教習中は、指導員は白い手袋をつける決まりになっている。文乃の指紋が凶器についている可能性は、元からなかったのだ。
「他に、何か教えれそうなことがわかったら、おまえにも話すよ」
「悪いな。……とりあえず、こんなもんで充分だ。ありがとう」
篠さんはそう言って、右手を顔の前に掲げた。
「いや、いいよ。敬太郎もがんばれよ。あと、和紗さんも」
はぁっ!
公史さんに、ふいに名前を呼ばれ、私は心臓が飛び出そうになった。
「ごめんね。辛い思いさせて」
公史さんは全く悪くないのだが、本当に申し訳なさそうにそう言った。
ぶんぶん、と必死で短い首を振る。
「凶器となった刃物について、詳しくは今、調べている最中だ。だけど、指紋はついてなかったよ。拭いとったようでもないし、たぶん手袋でもしていたんだろうな」
技能教習中は、指導員は白い手袋をつける決まりになっている。文乃の指紋が凶器についている可能性は、元からなかったのだ。
「他に、何か教えれそうなことがわかったら、おまえにも話すよ」
「悪いな。……とりあえず、こんなもんで充分だ。ありがとう」
篠さんはそう言って、右手を顔の前に掲げた。
「いや、いいよ。敬太郎もがんばれよ。あと、和紗さんも」
はぁっ!
公史さんに、ふいに名前を呼ばれ、私は心臓が飛び出そうになった。
「ごめんね。辛い思いさせて」
公史さんは全く悪くないのだが、本当に申し訳なさそうにそう言った。
ぶんぶん、と必死で短い首を振る。