ドライヴ〜密室の教習車〜
「俺は……そこに、ブレーキペダルがあるから、だな」

「おお。そんな感性を持つ篠さんが、すげえ遠い存在に感じる。……違うでしょ。止まりたい時、それか、減速したい時に踏むんじゃないですか?」

「それも一理あるね」

「その他があるというのですか」


 私は、とりあえず篠さんのことは無視することにした。

 その上で、もう一度真剣に考えてみる。


 村上くんは、藤田さんの話では車の運転は上手だったらしい。

 しかし、事件の起こる直前の彼の運転は《イマイチ》だった。

 それは……一体何を意味するのだろうか。



「篠さん。私思ったんですけど」
 
 私は、一つの結論に達した。
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