天使の残像─君が消えたセカイの幸福論─
僕はタブーに触れたように思ったが、それでも彼女の答えが気になった。
しかし、返ってきた言葉は、凡人の僕には到底理解しがたいものだった。
「翼があるから」
当たり前のように、彼女はそう言ってのけた。あまりにも平然とした様子に、僕は逆にムキになってしまった。
「翼なんてないよ」
否定する。根拠など何処にもないが、ただただ、否定したかった。
「あるわ」
彼女は少し気分を害したように、眉を寄せた。