私の恋人は布団です。
 温かいご飯の味が広がる。

 延はやっと今日初めての安息のひと時を味わった。



(実は……お母さんが布団を洗ってて,今までのは全部夢だったとか……)



(きっとそう……起きたら,また普通の……)


 もぐもぐと口を動かしながら,延は携帯電話を手に取った。


 メールが届いている。


 加南子からだった。


『隆也君だっけ。今度,ちゃんと紹介してね?』



 簡素なメールを,延は見なかったことにした。



 お腹を満たすと,また直ぐに眠気が襲ってきたので,延は寝ることにした。


 寝るとき,延は、

(夢でありますように。夢でありますように。夢でありますように)

 と,何度も祈った。

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