私の恋人は布団です。

「そう言えば,親戚の子は元気?」

 さながら後光を背中に背負いつつ修一は延に話しかけた。

「……しん……せき?」

 延は,すっかり忘れていた。

 隆也を「親戚の子」と紹介したことを。

「延……っ,布団君よ,布団君!」

 加南子が小声でフォローしてくれたお陰で,延はハッと修一の方を見た。

「あ,はい……」

「そう。それじゃあ……今度,延ちゃんのお母さんにも挨拶に行くね」

「え?」

「だって,随分顔を見せていないでしょう?」

 確かに,修一が家に来ることは最近無かった。

 母親なんて,
「イイ男は何回見たって飽きないの!延,修一君にも顔見せるように伝えなさいよ」
 とさえ言っていたのだから。

「はい!」


 修一は,ニッコリと微笑むと奥の本棚の方に消えていった。

 延は気の抜けた顔をしている。
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