私の恋人は布団です。
「ちょっと……。煩いよ」
「す,すみませ……」
ずびっと音を立てる,布団。
「私の布団,じめじめと湿らせたら怒るから」
「はい……」
延はそんな布団に背を向けて,枕に頭を沈めようと振り返った。
そこには,黒いスーツの男が居た。
「延チャン♪コンバンハ★枕神だヨ!イエイ!」
「どっ!?」
延は色気の無い濁音を出して,ベッドに脛を打った。
(痛い!まだ居る!夢じゃないの!?……っていうか,男運悪いというより,無いんじゃないの!?私って……)
驚きや絶望を通り越して,延はもうボヤくしかなかった。