私の恋人は布団です。
「枕神,様?」
すすす,と布団が不審な軟派男の方に移動する。
「あ~。隆也,そんなんじゃダメダメじゃん。何布団になってンの」
「……これは,延さんが」
「そうなの?何?放置プレ」
「違いますけど!」
不穏な話の流れにすかさず延は軌道修正をかけた。
(やっぱり嘘だ……こんなんが神様な筈ないし……きっと布団の親戚みたいなものよね)
「ヒドイ!俺を疑うなんてぇ……」
(この喋り方……はっ倒したくなるし……)
「身体的責めにも耐えられる自信あるヨ~」
(……うん?)
(……私……先刻から……何もこの人に言ってない……けど……?)
延は,一旦思考を止めた。
自分は確かに何も話してはいない筈なのに,何故その男が心の声に従って話せているのか。