私の恋人は布団です。

 延は,毎日が平穏であれば良いと思っていた。

 友達は,そんなに大勢要らない。

 幸せなことに,親友と呼べる友達はいる。

 彼氏だって焦ってもいない。
 
 母親はちょっと小言が煩いけれど,良き理解者である。

 父親は気が弱いけれど,真摯な態度で接してくれる。

 自分が思う,幸せな毎日。


(それなのに……)


 とりあえず見掛けだけなら超絶美男子(自称,掛け布団)。


明らかに不審なホスト男(自称,神様)。


(こういうのを……泣き面に蜂って言うのね……と言うか,蜂蜜ぶっ掛けられた感があるけど……)


「此処ではアキラって呼んで?延チャンは、未成年だからァ、オレンジジュースね」


「はぁ。どうも……」


(何でこんな目に……!!)


 ただ,夢だと言われると、延は何だか落ち着いてしまう。

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