私の恋人は布団です。

「……って。どうして着いてくるの?」

「お,同じ方向ですから」

「…………」


 放課後,延は校門で加南子と別れた。


 隆也が等間隔で着いてくるのを無視して。


「…………延さん,怒って,ますか?」


「そんなの当たり前……っ」


 思い切り詰ろうとして,延は枕神の言葉を思い出した。


―「布団じゃないときは人間だよ」

―「悲しい時は,延ちゃんと同じ人間だからねぇ。悲しいよ?」


「済みません……」


「そんな泣きそうな顔しないでよ……本当に私が苛めてるみたいでしょ」


「……す,すみませ……」


 隆也の目の縁には今か今かと流れ落ちるのを待っている雫が溢れ出ている。



「まっ……待って!此処から運ぶのは幾らなんでも……!!」
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