私の恋人は布団です。
「延,良いの?何か,思い詰めてる顔よ,アレは。いつもの“構ってオーラ”も無いし…着いて来ないし」
「いいの。その方が清々するし」
「ふぅん……」
隆也は放課後,足取り重く延の居ない教室を出ようとした。
女子に捕まっていても,いつもは延が渋々助けてくれていたが今日はそれが無かったので中々帰るタイミングが図れなかったのだ。
漸く隆也は女の子達をかわして玄関に向かった。
「隆也君。今日、帰りは独りみたいだね」
不意に声を掛けられ,振り返ってみると,其処には延と親しい様子の先輩が居た。
「あ。あの時は、どうも」
隆也は軽く頭を下げた。
「良いんだよ。あの位,別に。それより,ちょっと時間ある?」
有無を言わさない笑顔で修一は隆也を生徒会室まで連れていった。