私の恋人は布団です。

 特訓が始まってから一週間。

 隆也は毎日,違う種類の恋愛教本を渡された。


「それで,成果はどう?」


(ある訳無いけど……)


 修一は内心でそう思いながらも,隆也に聞く。


「……えぇと,俺は……オトコタイプ診断で言うと,ヘタレ?って言う部類らしくて……まず,ヘタレって言うのがよく分からないんですけど」

「情けないって事じゃない?」

「そ,そうなんですか」

「で?」

「……俺みたいな奴は,少し強引になったり,冷たくしてみたりするのが良いらしい,です」

「ふうん……」


(真面目に分析してるし……その分の思考力を他に使おうとは思わないんだろうか……)


「でも,『強引に』とか,『冷たく』って言われても具体的にどうしたら良いか……」

「そうだねぇ。隆也君は延ちゃんと何したい?」


「……あ!この本にあったみたいな『ラブラブデート』が,したいです!」


(……駄目だ……噴出しそう……)
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