私の恋人は布団です。
「だって,振られちゃうんデショ。あの子」
「……振られる?」
「そうだよ。延チャンが先輩イイ感じになったら,隆也はただの布団だもの」
(私が,あの布団を……振る?……そもそも,布団を……振る?)
「こんな時までそーいうコト考えるしィ……」
延には分らなかった。
目の前のアキラが唇を尖らせている訳も,心臓の表面を海水のような塩気のある波がさらっていくような感覚がどこから来ているのかも。
「そういう,こと?」
「そう。本当に,隆也は現実なんだよ。これが,実は!“ストーカーばりの只の人間の男の子が延チャンの事を好きで演技しただけでした~!”って事は,ないよ?」
(そんな展開になったら警察突き出す前に簀巻きにして川に放り込んでやる……)
「また物騒な……」