私の恋人は布団です。
「それより,これからどうするんですか?」
「どうするって?」
「今は人間って言うけど,将来は?生きることだって無料じゃないでしょう。何かと要り様な場面だって……」
「延ちゃん」
「え?」
「心配なの?隆也のこと」
延は顔を顰(しか)める。
どうあっても親友や面倒くさい神様は,自分が隆也のことを心配していると思いたいらしい。
「……はぁ。戸籍があれば大丈夫って訳でもないでしょう?それとも,一生,死ぬまで面倒見る気ですか」
「そうだねぇ。あと100年もなさそうだから。それも面白そうだね」
「人の一生を面白がるなんて悪趣味過ぎる」
「だって,人じゃないんでしょう」
言われて,言葉に詰まった。
矛盾している。
自分でもそう思った。
ずっと,隆也は布団だから,と逃げていた筈だった。
(逃げる?何から?)