私の恋人は布団です。
5.布団の消費期限
延は久しぶりに夢を見ていた。
暑い。
布団の温もりとは随分違う。
「あついってば!」
「ゴメーン」
延はハッと気付いた。
床が赤い。
豪華な絨毯だった。
「……何ですか、この扱い」
延の体には何故か布団が巻き付いていた。
それはもう暑苦しいくらいに。
「ご・褒・美!」
「……は?」
「お兄さんウレシイ!憧れの先輩より隆也を選んでくれて……っ」
わざとらしく涙を拭く仕草が苛つきを加速させる。
「だから、何ですか」
「時に延チャン」
「はい?」
「最近さ、隆也、何か変わってきてない?つうか、布団?」
「それは……」
思い当たるのは、隆也の人間らしい面が増えたことと、布団が前とは違うことだった。