私の恋人は布団です。


耳打ちされた言葉を聞いて延は脳内麻酔が激減した気がした。

「……嘘、ですよね。からかっているんでしょう?そうでしょう。そうだと言いなさいこのホスト崩れ」

「容赦ない延チャンも素敵!いや、でもコレ、マジですよ」

「……」


疑いの眼差しを向ける延に、生温い笑顔の枕神。


「もうさ、覚悟決めちゃってさー」


そんな簡単に言うなと言おうとしたが、延はいきなり夢から引き戻された。

薄く開けられた瞳に射し込むように朝日が浴びせられる。

朝だった。



「お早うございます」



(……消費、期限?何も変わらないけど……)


隆也を頭の先から正座している膝頭までを見てみても、不審な点は見当たらない。

顔色も悪くないし、見目整った顔も緩んでいるとは言え充分見られる顔だった。


「延、さん?どうかしましたか?」

「う、うぅん。別に」


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