私の恋人は布団です。



―延さん。俺、延さんのことが大好きです。


反芻される言葉が遠くで聞こえる。

次の朝も、その次の次の朝も、そして、ずっとずっと先の朝まで同じ朝が来ると、延は思っていた。


「隆也……?」


朝起きてから、一度も隆也の声を聞いていない。

布団がいつもより重かった。



「……隆也?」



思えば、何度も隆也と言う名前を呼んであげていない。

まだ、ちゃんと気持ちも伝えきれていない。

延は心臓が壊れた玩具のように悪戯にバクバクと跳ねるのを感じた。

後戻り出来ない焦燥感と、後悔が頭を埋め尽す。

これは、夢で。
きっと醒めたら、また…。

もう何処から何処までが現実なのか現実離れした思いなのかが分からない。

ただ、ひとつだけ、延の心を占めていたのは……。

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