私の恋人は布団です。






「隆也……」



温もりを探るように布団を抱いて、呟く。






(隆也。……もっと、話したら良かった。好きって、言ってたら、どんな顔をしたんだろう?)



過去を懐古するように思いを廻らせた。





「隆也。私、隆也の事が、……好」



「ぅ、わ!!ちょっ、押さないで下さ……っ」

「ば、馬鹿!!今はヤバ…」



どたん、と物体が2つ落ちる音がした。

延の目の前には、転がる男が2人(でも多分人ではない)。



「……何、してるんですか……?」


低く冷気の漂う声に長髪の優男も今時の格好良い青年も固まった。

< 93 / 95 >

この作品をシェア

pagetop