私の恋人は布団です。
「だ、だからー。あの言葉は本当なの!だから、こうして隆也も、ねっ?」
「お、俺は、枕神様が最後の最後に延さんにお別れを言えって連れてこられまして!だ、騙すつもりなんて、これっぽっちも……」
「……隆也」
「は、はいっ」
「本当に、隆也?」
「はぁ……」
恐る恐る隆也の腕を掴む。
そして、掌を隆也の左の胸にあてた。
「えぇと、延さん?」
「ちょっと待って、今、確認するから」
掌の後は耳をあてた。
振動が人間のそれだった。
「……嘘」
「だから!嘘じゃないんだってば!延チャンがちゃんと強く願ったからだよ」
「布団がふっとんだって…?」
「いや、叫ぶ内容は何でも良かったんだけどさ」
「……枕焼いたら、例え神でも消えませんかね?」
「じょ、冗談デース」
「でも、隆也はあんまり変わらないけど……」
「変わりませんよ。俺は延さんが好きです。だから、何も変わりません」
「……そっか」
延は、思った。
何が現実で、非現実で、何が信じられるか信じられないかなんて自分で決めるものだと。