野良神様の32分間
はじめまして
例年を上回る気温に、全国各地で熱中症が多発する中、鎌美高校2年生、野々山季柚は近所の神社で固まっていた。
夏の暑さにやられて、遂に幻覚が見えるならば、本物の阿呆だ。
確かに期末テストは8教科中6教科が赤点で、馬鹿だの何だ言われた。
しかし、目の前にいる世にも奇妙な生き物は、幻覚ではない。
なぜなら・・・
「おい女、お前女のわりに随分とでかいな。・・・なんか腹が減った。お前、俺のために何かご馳走しろ。気分的に冷たい麺類が食べたい」
よく喋るから。
「・・・さっきから固まって、どうした。何か変なものでも見たか?」
「目の前にいるでしょ!!変なもの!!」
「ん?・・・・・俺の後ろは神社だけだが・・・」
「アンタのことだから!!」