野良神様の32分間
鮮やかな着物に、艶やかな白髪。
先程とは違う大きな身体が、自分を抱えてくれていた。
「の、野良神!?」
思い出した瞬間、身体はゆっくりと地面に置かれ、艶やかな白髪を風になびかせながら、彼は長身の男を睨みつけた。
「俺の主に何か御用か?夕飯がまだなもので、出来れば早くしてあただきたい」
「お前は・・・・、ハッ、堕ち神が何を。護れなかった後悔を、今度はその小娘に押し付けか。哀れだな」
「・・・・季柚、お前そこから動くな」
「う、うん。・・・・・あれ?何で私の名前知って・・・」
聞こうと着物の袖を掴もうとすると、クスリと笑って手を離された。
「話は後だ。・・・・何、すぐに終わる」