野良神様の32分間
“季柚、呼んで。あの子の名前を”
(名前・・・?)
“そう、そして強く叫んで。貴女の声は魂を響かせるわ。さあ、あの子の名前は────”
「────陽蘭っ!!」
「っ!?」
「くっ、何だ急に、光って・・・」
季柚が叫んだ瞬間、堕ち神は純白に光り出した。
季柚のネックレスも同時に輝きを増してゆく。
「・・・・そうか・・・お前がまた、俺に力を貸してくれたのか。・・・・・・ありがとう、───・・・」
「この光りっ、何でまだお前が、こんな力を・・・・・・っ、チッ」
舌打ちすると、男は逃げるように身を隠した。
ジリジリと、まるでコンピュータのデータが消去されてゆくかのように。
「・・・・今度は、護れるといいなぁ、『堕ち神』よ」
「・・・・・」