野良神様の32分間
「あァ、そんなの人間の姿に化ければ容易いことだ」
「・・・・え?えぇ!?」
「何をそんなに驚く。神ならば出来て当然のこと」
「それって、神様と言うより、むしろ妖怪なんじゃ・・・・・・・あ、ならさ、普段は人間の姿で生活してるの?」
「いや、それがそうもいかないのだ。俺は神であるが、神の中でも『堕ち神』と言って、・・・まぁ、天使で言うと堕天使のような存在だな。神の世界から人間界に落とされた身なのだ」
「・・・・・」
何でもないような平然と話しているが、声色が先程より冷たい。
何があったのか。聞きたい気持ちを、季柚は抑えた。聞いてしまったら、きっと彼を苦しめるかもしれないし、悲しませるかもしれない。
彼を問いつめる権利は、誰にもないのだ。