神様 オレ様 悪魔様!?(兄・真太郎番外編、完結!)
「うちの車で送ってやるのに…」


そう言いながらもオレはそれ以上、
千年を呼び止める事をしなかった


いや、出来なかった


何故なら、


千年が泣いていたから


一生懸命、笑顔を作りながら


ポロポロ


ポロポロと涙を流していたから


オレはついその涙に見とれて


言えなかったんだ






ふと、足元を見る


千年が落としていったのだろう


小さな紙製の手提げ袋が転がっていた


拾い上げ、中を見る


中には手紙と手作りらしいチョコが入っていた


手紙の宛名は


『大好きな翔ちゃんへ』


それを見て一瞬、胸がチクリとする


さほど、気にせず
この、袋の意味を考える


なるほど


次の日曜のバレンタインデーには大きな茶会が入っていたから


きっと、今日渡しに来たのだろう


翔真に直接渡すために






取り敢えず、オレが預かるか


オレはそのまま手提げを抱えると
やたらと大きな門をくぐり
広い屋敷へと向かった











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