【短編】僕の名はインフィニティ
「ねぇ、あなたの名前は何て言うの?」

僕には名前などない。

そんなもの、一人で生きていくのには必要なかったから。

「じゃあ、あたしが名前をつけていい?」

勝手にすればいい。

僕はそっぽを向いた。

キミはそんな僕にかまわずに、真剣に頭を悩ませた。

すっかりミルクがぬるくなった頃

ようやくキミの口が大きく開いた。

「あなたの名前はインフィニティ。」

どうしてインフィニティなんだい?

僕は首をかしげて尋ねた。

「infinity・・・無限っていう意味よ。」

無限か。皮肉だな。僕は有限の命を失おうとしていたのに。

「無限・・・そんなものがこの世にあればって思ったのよ。」

キミは悲しい目をしていた。

―その日から、僕の名はインフィニティになった。―
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