【短編】僕の名はインフィニティ
キミは毎月、決まった日に庭のベンチに座って読書をする。

春には桜の花びらを

夏には朝顔を

秋には紅葉の葉を

僕が拾ってきて、それを本のしおりに使うんだ。

キミはラズベリーティーを淹れて、僕は傍に座る。

季節は何度も巡ったけど、本のしおりの位置はいつも変わらない。

君の目は、そこに綴られた文字を通り越して

遠いところを見ているから。

キミは待っているんだ。

あの男を。
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