涙の恋
・・・」
驚きで体が動かない。
「・・・誰?」
体だけじゃない、頭だってパニックで真っ白になった。
だって、そこは保健室なんかじゃなかったから。
「・・・」
「・・だから、誰って聞いてるでしょ?」
そこは、きっともう使われていない教室。
たくさんの物が、ごちゃごちゃに置いてあって、そう。言うならば"物置き"って感じ。
そんな部屋の窓辺に、一人の男の人が座っていたのだ。
「おい」
「ごっ、ごごごごめんなさい!!!!!!!!」
気づいたらあたしは、思いっきり扉を閉めて、全速力で走っていた。
* * *
今思えば、なんで逃げたんだろうね。
もし、その場に残っていたら、少しは違う運命だったのかな?
けど、あの時の君は
あまりにも綺麗すぎて、近寄るのも怖いくらいだった―――