カタチのないセカイの為に
※ 2節 ※
理子が、部屋で帰りの支度をしていると、
部屋のドアが叩かれた。
『トントン…。俺だけど…。』
「優潤?どうぞ~。」
声を合図に、部屋のドアが開く。
「帰り支度は進んでる?」
邪魔にならないように、気遣いの言葉を送る。
「ええ。まだ使うものもあるし、
全部しまえないから、もう終わるわよ。
いゃ。3週間もいると、さすがに荷物が増えるわね~。」
面倒そうに理子が呟く。
「何?どうかしたの?」
立ちすくんでいる優潤に声を掛けた。
「あー。
チョット相談があってさぁ。
美咲の事なんだけど…。」
理子は、言いにくそうにしている優潤の言葉を焦らせた。
「何? 今日、美咲に好きだって告白する話し?」
優潤は、コクリと肯いた。
「なんかさぁ。
昨日、怒らせちゃったばかりだし…。」
優潤が話をしている途中で、
理子が割って言葉を挟んだ。
「まさか、『告らない』とか言うんじゃないでしょうね?」
「チガウ。チガウ。
何か、明日帰るんだと思うと、
チャンスは、今日の夜だって、思っているけど、何か、ジッとしていられなくてさぁ。」
理子は、優潤が後押ししてもらいたくて、自分の所へ来たのが、直ぐに分かった。