カタチのないセカイの為に

幼かった頃。優潤が言っていた好きな人。
それは、確かに『みさちゃん』だった。

今も、まだ好きな気持ちを持っている事が、
理子には衝撃的だった。

でも、オカシイ…。

「優潤。中学の時、告白して来た人を、
全て、同じ理由で断っていたわよね?
『好きな人がいるから…。』って
その人は、どうしたのよ?」

優潤は、顔がピンクに染まった。

「いゃ。だから…。
それが、江藤さんなんだけど…。」

言いにくそうに、出て来た優潤の言葉。

その様子から、本心な事が読み取れる。

でも、理子は、優潤を美咲に近づけたくない。

「でも、『火の無いところに煙は立たぬ』っていうでしょ。
あなたの中学の時の噂は、最悪だったわよ。」

理子の言葉に、
コクリと優潤が納得した。

「確かに…。
もぅ。『みさちゃん』に、
会えないと思っていたんだよ。
本当に、諦めてたんだ。」

優潤は、アイスティーに付いていた
ストローをクルクルと回し始めた。

「小6の時にさぁ。
同じ中学校に行きたいって思っていたから、
思い切って母さんに、聞いたんだよ。

『みさちゃんは、
何処の中学校に行くのかなぁ?』って。

そしたらさぁ。


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