カタチのないセカイの為に
母さんが、
『私も、所在を探しているんだけど、
みさちゃんのお父様が亡くなってから、
みさちゃんもお母様も
何処で何をしているのか、
所在が全く解らなくなっているのよね…。』って
言われてさぁ。」

理子は、また衝撃を受けていた。

「それって、中等部に行かずに
外部に行こうとしてたの？」

優潤は、コクリと肯いた。

藍泉学院に通っていれば、
大学までは実力テストみたいなテストだけで、
難関入試を受けなくても、
藍泉学院大学へ道は開かれる。

レベルだって、悪くない。

それなのに、好きな人の為に、
『そこまでやるのか！』と思った。

理子は、外部の学校に行く事なんて、
一度も考えた事はなかった。

それなのに、あんな噂が流れても、
イジメに遭っている、感じもない優潤が、

外部の学校に行こうとしていたのは、
かなりの衝撃だった。

「藍泉学院に戻りたかったら、
高校が大学で受験も出来るから。
でも、
彼女の中学校生活は戻ってこないだろ。
一緒に下校としたいじゃん。」

サラリと応える優潤に、
理子は、気が遠くなった。

「そうね。あなたの頭なら、
同じ中学に通って、振られても、
直ぐに、編入試験でも受けて
戻って来れるわ。」

チョットだけイジメ交じりに
理子が言った。
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