カタチのないセカイの為に

母の『怒』……。


考えただけでも、ブルブルと悪寒が走る。

しかも、バイトするから日数伸びてるし…。


そんな事を考えながら、
恐る恐る家のドアを開けた……。

母は、いつもの様に
「みさちゃん。おかえりぃ♪」
明るい声で出迎えてくれた。

美咲は、自分の部屋に行き、鞄を置いて、
ゆっくりと深呼吸をしてから、
部屋をでて、夕飯の支度をしている母に恐る恐る近寄って、声を掛けた。

「お母さん……。」


キッチンに居る母は、リビングダイニングに出てきて、
美咲より先に、話し始めた。



「さっきねー。理子ちゃんが来てね。
『筆事も管理人さんも、居るので安心して下さい。』って。」嬉しそうに母が言う。

更に、言葉続き

「それから『宿題持参で1週間の寺院めぐり等の観光の前に社会勉強を兼ねて2週間のバイトを許して頂けませんか?』って言うから、OKって言っておいたわよん♪
丁寧に、別荘の住所と電話番号と素敵な筆事の忠君の携帯電話の番号と、

大好きな、胡桃入りのチョコケーキ
頂いたから安心して送り出せるわー♪」

と、母は明るい声で言った。



チョコケーキ…。。。。

これで落ちたんだな。と美咲はアッサリ見破った。

そして母は、本当に安心しきっている…。

でも、良かった♪と、私も安心した。


「お茶をお誘いしたのだけど、
『急用が在るので』って帰ってしまって残念だったのだけど、本当にしっかりしたお嬢さんね。良い友達を持ったわね。」
母は言った。

< 11 / 248 >

この作品をシェア

pagetop