カタチのないセカイの為に
「うー。困ったなぁ。
今日は、何して遊んだんだ?」
「今日、ねぇー。
ゆうくんと、りぃちゃんと、お山つくったの。
でもね。『みぃ』が意地悪したの。」
プクリと膨れた顔で、
美咲が、『みぃ』と言いながら
指差した先には『波』がある。
「あー。波に、壊されちゃったのか…。」
「もっかい、作るのぉ。ね。ねぇ。」
駄々をごねる美咲に、父は、
「じゃぁ。もう一回だけぞ。
本当に一回だけぞ。約束だぞ。」
一回だけ。と何度も念を押した。
美咲は、
「うん♪」
と、笑顔で応えた。
理子も、もう一度、お山を作れるのだ。
と思うと、嬉しくて笑顔になった。
美咲の父も手伝って出来上がった山は、
その日に作った、どの山よりも大きかった。
「さぁ。帰るぞぉ。」
美咲の父も、子供の様に、
泥んこになっていた。
遅いのを心配したのか、
優潤の別宅で待っていた三人の母達が、
迎えに来た。
美咲が、迎えに来た母に走っていった。
「あのねぇ。大きいお山作ったの。
凄く、大きいの! 楽しかったぁ!!」
満足そうに、美咲は笑みを浮かべた。