カタチのないセカイの為に
※ 3節 ※
優潤は、飲んでいたアイスティーを
テーブルの上に戻した。
「ああ。覚えてるよ。」
理子は、記憶を辿るように口を開いた。
「一緒に、手紙を書いたでしょ?
その後、植木屋さんに行って、
花を買ったのは、覚えているのだけど、
渡した記憶が無いのよ。」
優潤は、片手で頬杖を突いた。
「ああ。俺も、渡した記憶は無いよ。
渡してないから。」
「ええー!!
買ったのに、渡してないの?」
理子は、優潤の顔をマジマジと観た。
あの夏。
確かに、私達三人は、仲良しだった。
親同士も、仲が良かったわ。
なのに… 何故…?
「あの日は、渡せなかったんだよ。」
(昔の話)
『みさちゃん』とこの街で会える最後の日。
理子の別荘で、
『みさちゃん』への手紙を書いた後、
理子の母と理子、俺で、
植木屋に行って、プレゼントを買った。
この頃の僕達は、
『みさちゃん』の影響を受けていたのか、
『みさちゃん』に教育されていたのか…。
子供のように、はしゃげる様になっていた。