カタチのないセカイの為に

「新しいお家にも、
花をいっぱい植えてもらいましょうね。」

三人で、沢山の苗や花や種を選んだ。

理子の母が、
お金を払いに行っている時だった。

理子は、楽しそうに優潤をみた。
「お花畑だね。
みさちゃん『ファンタ』になるね。」

その頃の僕達は、
犬見れば、『ファンタ』と呼んだ。


みさちゃんが大好きな
ジュースの名前から、名付けたらしい…。


理子は、ピョンピョン飛び跳ねながら、
『ワン。ワン。』と
美咲の愛犬『ファンタ』のまねをした。

それは、『みさちゃん』が良くやっていた、
『ファンタごっこ』だった。

その時、野良犬らしき犬が、
車道へ、走っていた。

「あ! ファンタだ!! 」
理子が、走り出した。


道路の中心を過ぎたところだった。



「りぃちゃん! ダメ !!!」


優潤の、叫び声と同時に
理子の小さな身体は、宙に浮いた。


理子の身体は、道路中央に投げ出された。



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