カタチのないセカイの為に



理子の父も、病院に駆けつけた。


検査室から、出てくると、
理子は、ニッコリ笑顔を浮かべて、

「何で、病院にいるの?」

と、言った。


理子は、事故の前後の記憶が、
無くなっていた。



怪我は、幸い右手の打撲と
左足の捻挫で済んだ。


理子は、一日入院して、
次の日には、退院した。


植木屋さんに行ったことも、

思い出したのは、数日後だった。



その日が、
『みさちゃん』の引っ越しの日だった。


引っ越しを手伝っていた優潤の両親が、
病院に迎えに来てくれたが、

その頃には、既に『みさちゃん』は、
この街を出て行った後だった。


僕は、次の日になって、
この街に『みさちゃん』が
居なくなっている事に気付いた。



< 117 / 248 >

この作品をシェア

pagetop