カタチのないセカイの為に

「これは、逃せないと思ったわ。」

優潤も、微笑した。


「まさか、ここに住むとは、思わなかったけど、
ちょうど、良かったわ。
美咲は、いい方向に進んでいるもの。

それに、手紙とプレゼントを
渡せなかったのって、
私が、原因でもあるしね。」


優潤は、驚いた。

「そんなこと、考えてたの?」

理子は、コクリと肯いた。
「この仮は、どこかで返さないとでしょ。」

「理子。お前が、幼馴染で良かったよ。

ありがとう。」

優潤は、優しい笑顔を浮かべた。


「頼み事をする時は、
幼馴染の特権を使わないのに、

感謝する時は、
幼馴染って思い出してくれるのね。

美咲を、好きになってくれた人が、
そんな人で、良かったかも。」

優潤は、
「俺、出来た人間じゃないけどね。」

笑いながら、言った。



その笑顔を教えてくれたのは、
美咲…。

理子は、心の中で美咲に
『ありがとう』を何度も言った。
< 122 / 248 >

この作品をシェア

pagetop