カタチのないセカイの為に
「これは、逃せないと思ったわ。」
優潤も、微笑した。
「まさか、ここに住むとは、思わなかったけど、
ちょうど、良かったわ。
美咲は、いい方向に進んでいるもの。
それに、手紙とプレゼントを
渡せなかったのって、
私が、原因でもあるしね。」
優潤は、驚いた。
「そんなこと、考えてたの?」
理子は、コクリと肯いた。
「この仮は、どこかで返さないとでしょ。」
「理子。お前が、幼馴染で良かったよ。
ありがとう。」
優潤は、優しい笑顔を浮かべた。
「頼み事をする時は、
幼馴染の特権を使わないのに、
感謝する時は、
幼馴染って思い出してくれるのね。
美咲を、好きになってくれた人が、
そんな人で、良かったかも。」
優潤は、
「俺、出来た人間じゃないけどね。」
笑いながら、言った。
その笑顔を教えてくれたのは、
美咲…。
理子は、心の中で美咲に
『ありがとう』を何度も言った。