カタチのないセカイの為に

美咲が、小さなバックから取り出した携帯を
優潤に手渡した。

「いいよ。　私の番号も登録しておいて。」


美咲の口から出た『いいよ。』

今度の言葉は、肯定的な言葉だった。



優潤は、おやつを貰った子供みたいな
笑顔を浮かべながら、
自分の携帯を赤外線受信にして、
美咲の携帯の『メニュー』→『０』を押す。



『受信しました』



優潤は、自分の携帯の登録を確認すると、
カチャカチャと美咲の携帯をいじり始めた。


『あ。そうだ。』


カチャカチャカチャ……

カチャカチャ……。


「優潤。まだ？？」
待っていた理子が急かすように、尋ねた。

「待って、もぅちょっと。」

カチャカチャカチャ……カチャ…

カチャ…



『受信しました』



美咲の携帯に、自分の番号が入っているか確認する。