カタチのないセカイの為に
「何時に出る?」
健吾が理子の方を見ながら言った。
「もう出るわよ。」
理子が立ち上あがる。
「忠君、呼んで来るわ。」
別室で、夕飯を食べている
筆辞の忠君を呼びに、
理子が部屋を出て行く。
外は、まだ明るくて、
開いている窓から、入り込む生暖かい風が、
カーテンを少しだけ揺らしていた。
健吾は、ゆっくり出来る
少ない時間を惜しむように、
ソファーに寝そべった。
美咲は、食べ終わった食器を重ねてから、
麦茶を飲んだ。
優潤は、窓に近寄って外を眺めながら、
美咲の言った言葉を思い出す。
『いいよ』って何だ!
肯定的なのか、
否定的なのか、
ハッキリして欲しいぞ…!!