カタチのないセカイの為に
美咲は、
「平気。平気。」

と言いながら、地面に両手を付いて、
起き上がろうとすると、

握っていた方ではない、逆の手が、
美咲を抱え込むように、背中で邪魔をした。

優潤が、安心したように、
「ごめん。」

謝ると、邪魔をしている手が離された。



近い…。


優潤が、近過ぎる…。



ち、ちかい…。


「ギ゛゛。」




日本語に無い、気持ち悪い発音を
口から一文字だけ出して、

必死で叫びを堪えた。



「大丈夫?」
優潤は、ペシャンコなのに、
気遣った言葉を送ってくれた。

美咲は、立ち上がると、
「大丈夫。ごめん。」
心配そうに、優潤を見つめた。
「優潤は、大丈夫?」



『あれ?初めてだ。
名前で、呼ばれた…。』


優潤は、ニッコリ笑いながら、平然と応えた。
「大丈夫だよ。」
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