カタチのないセカイの為に
起き上がった優潤は、
パタパタと洋服に付いた土を払った。

優潤の背中に付いた、土を健吾が払う。

「優潤、お前、運動不足じゃん。
体力、落ちてるぞー。」

笑いながら、言う健吾に応える。
「ちょっと、気になる事が…。」

「気になる事?」


「ああ。
背中、ありがと。 取りあえず行こう。」

優潤と健吾は林の奥へ歩き出した。

美咲と理子、後ろから忠君も先へ進む。




優潤が、後ろを歩く美咲に聴こえないように、
ひそひそと、健吾に話しかけた。


「さっき、塀から、降りる時に美咲がさぁ。
『懐かしいね。』って言ったんだよ。
昔の事、覚えてんのかなぁ。」

「でも、覚えてる感じ、全くないぜ。
お前の事も、『海の家』で会った時に、
初めて会ったって感じだったろ。」

「そうだよなぁ…。
思い出したとか??」


二人は、ちらりと後ろを歩く美咲を観た。

後ろを歩いている美咲達の距離は、
そんなに遠くない。

「なに?」
目線に気付いた美咲が、優潤と健吾を見た。


「いや。何でもねぇ。」
健吾が、焦るように言葉を返した。

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