カタチのないセカイの為に
健吾は、前を向いて、歩き出す。
「わかんねぇなぁ。」

健吾に、吊られる様に優潤も前を向く。
「別に、どっちでもいんだけどさぁ。」


「どっちでもいいなら、
昔話すりゃーいいじゃん。

大体なぁ…、4歳、5歳の時の話、
思い出せるお前らが、どうかしてんだぞ。」

「そうかなぁ?」


優潤は、健吾の肩に手を乗せた。

「でもさ。どうせなら、
自力で思い出して欲しいじゃん♪
まぁ。ちょっとは寂しいけど、楽しいじゃん♪」

健吾は、溜息をついた。
『お前は、読みにくいんだよ。
言った方が、話題も増えるのに…。』
心の中で、呟く…。

「まぁ。頑張れよ。」

「おぅ。」


古い建物の脇を抜ける。
花火をするのは、この先だ。



「あ!そういえば。」


思い出したように、優潤が話を切り替えた。

「聞いてくれよぉー♪」
妙に明るくなった優潤の声と同時に、
肩に置かれた手が、遠くの肩へ移動した。

優潤は、めちゃくちゃな笑顔を浮かべた。
眼が、ウルウルしてる…。


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