カタチのないセカイの為に
※第二章※ デアイ
「ビールもジュースも冷えていますよぉー!!」
「寄ってらっしゃい見てらっしゃーい!!」
海の家から、響く声……。
理子と美咲は、声を張り上げていた。
理子は、ふぅ。と、溜息をついた。
どうやら、
美咲の『実演販売的、客引き声出し病』は、
治らない!と感受したらしい。
美咲が、立ったまま膝に両手を付き、不意に言った。
「暑いよぅ…。
うちら…。溶けちゃうんじゃないの…」
理子は、ふふぅっと笑みを浮かべたと思うと、少しだけ真顔になって、
「溶けたら、体重減るかなぁ。」と、呟いた。
美咲は、理子とは、目を合わせずに横流しの目で話した。
「スタイル良いのに…。それ以上やせたら、皮と骨だけのミイラになっちゃうよ。ってか、今まさに、ミイラの気持ちが分かる気がする…。」
理子は声を出して、笑った。
美咲も、吊られて笑った。
他愛無い話を一日中していた。
忠君が歩き出した。
そんな彼女達を見ている視線があった。
理子は、その目線に気付いた。
そちらに目線だけを動かした。
すると、目線を送っている相手と目が合った。
バイト初日にも、
このビーチに来ていた人だった
しかし、眼には映らなかったかのように、視線を戻した。