カタチのないセカイの為に

ついさっきまで、ここに居たのに…。


理子は、階段から腰を上げて
立ち上がると呟いた。


「いない…。」


理子は、
近くにいるはずの美咲に呼びかける。
「美咲ぁ？」

「………」

応答はない…。



「忠君？美咲は？」


筆辞の忠君は、常に周りを見ている。
しかし、忠君もいない…。



基本的には…。

理子が指示を出さなければ、
邪魔にならないように、見守っている


ハズだが…。



バケツを持っていた忠君は、
水道の方から、バケツを持って歩いてくる…。


忠君の隣には、

美咲が！



いない!!


こちらへ向かってくる忠君に
届く位の大きな声で
理子が尋ねた。

「美咲はぁ？」

忠君は、『ん？』とした顔で理子を見た。
すぐに、理子の近くに早歩きで近寄った。

「どうかなさったのですか？」



「美咲がいないの。」

忠君は、驚いた顔で
持っていた水の入っていたバケツを
落としてしまった。