カタチのないセカイの為に
「ゴミ捨て場の近くだな。
ちょっと待って、電話切るなよ。」


『はい…。』
美咲の申し訳なさそうな声を聞き取る。



ここは、工事中の場所。

建物の取り壊しは始まっていないが、
広い敷地の中には、
工事の始まっている場所もいくつかある。

無数に開いている穴もある。


日が落ちたら、探すのが大変だ。



優潤は、しゃがんで携帯電話を地面に置くと、
持っていた花火の入っているビニール袋を
ゴソゴソとあさり始めた。

その中から、懐中電灯を二つ取り出と、
一つを、健吾に渡した。


「ゴミ捨て場の近くだって。探しに行こう。」


健吾が
「おう!」
と肯く。



「健吾、ここの見取り図覚えてる?
穴の開いている場所とか覚えてるか?」


健吾は、健吾が持っている花火の
ビニール袋の中から、
折りたたんだ見取り図を出した。


見取り図は、数日前ここに来る為に、
優潤の客人が持ってきてくれた物。

工事している箇所が分る物だ。



「これが、あるから大丈夫だせ。」

健吾は、得意そうな顔で
持っていた見取り図を広げた。



優潤は、地面に置いてた携帯電話を拾う。
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