カタチのないセカイの為に
「俺ら、探してくるから、
理子と忠君は危ないから、ここにいて。」

理子と忠君が肯く。

優潤は、携帯電話を耳に当てた。
「もしもし?」

電話の向こうから、美咲の声が聞こえる。
『もしもし?』


「今、健吾と迎えに行くから、余り動く…」

優潤が、言い終る前に
美咲の大きな黄色い声が、言葉を遮った。


『ぎゃああああああ。』



声の大きさにびっくりした優潤は、
咄嗟に耳から携帯を離した。


静まったところで、
直ぐに携帯を耳の隣へ戻す。


「どうした?」


『…………』



「聞こえてる?」


『…………』


美咲の応答はない。


優潤は、もう一度尋ねる。

「聞こえてる?」



『ツー。ツー。ツー。』

電話の切れた音が返事をした。


「切れた…。」

優潤は、携帯の通話終了マークを押すと
直ぐに掛け直す。

ダイヤル0→通話ボタン。


『… … 電波の届かない…
…電源が入っていない為……』


「電源が切れてたのか…?
繋がらない…。」
優潤が呟いた。

< 147 / 248 >

この作品をシェア

pagetop