カタチのないセカイの為に
美咲は、石積みから、豪快に落っこちていた。




「イタタタタ…。」

手から離れてしまった携帯電話を探す為に、
立ち上がろうと、両手を地面に付けて、
体重を掛けた瞬間。


『痛ッ!!』


左手首を確認するようにゆっくり回す。


『痛い。』


捻ってしまったようだ。


左腕を見ると、肘の辺りが擦り剥けている。

足の膝小僧も擦り傷になっている。



石積みを見上げた。


上半身が起き上がっているが、
座り込んでいる美咲には、
とても高い壁のような感じがする。



『あそこから、落っこちたんだ。』



古い別荘の広い敷地の中。

別荘は、石積みで作られた土地の上に建てられていた。


美咲は、来た事のあるような感覚が


気になって、気になって…。


好奇心でここに辿り着いた。

この感覚……を辿って…
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