カタチのないセカイの為に
『痛ッ』

落っこちた時に、捻った左手首が痛い。


でも、ここを登らなくては、
皆の所に戻れない…。


美咲は、左手首の痛いのを堪えて、
石積みに両手を付いて、飛び上がった。


「痛ぁぁ-!!」


左手首も、
左腕と膝小僧の擦り傷も、ピリピリする。


でも、ここ越えなくちゃ!!

もう一度。

『痛い!!』


何度も、何度も、石積みに飛び乗ろうと
必死にピョンピョン飛びつく。


しかし、

腕に上手く体重が乗らずに、
飛び越える事が出来ない。


力が入らない。


でも、ここには居たくない。


恐い。


離れたい。




必死に頑張る美咲。


もう息はとっくに切れている。

どんどん力が消耗していくのが分る。

両足も、ジャンプ力が低下してる。


ここには、居たくない!!


携帯電話もない。

助けを呼ぶ事も出来ない。


『石積みを登るのは、難しい。
まずは、携帯を探して助けを…。』


頭の中で、今何をしたらいいのかを考える。


美咲は、携帯電話をまた探し出し始めた。




少し経って、

木の陰の草を掻き分けた時だった。

『あった!!』


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