カタチのないセカイの為に

優潤は、『ハァー。』と溜息をついた。


なんで、言わないんだよ…。

いや。言う機会も無かったか…。



考えれば、分かる事だな…。

降りたら最後。自分で、登れない所なんて、
自ら、行かないよな…。

しかも雑草も生えっぱなしだし…。

自ら、入らないよな…。



俺が、聞けばよかった。
気付けばよかった。



野犬に気を取られ、コクル事に気を取られ…。

俺、全然ダメだな。

美咲の事。ちゃんと見てないとなぁ。



美咲を見ながら、声にしないで謝る。

ごめんな……。


「何処か、ぶつけた所、ある?」


美咲は、足首をクルクル回した。

「大丈夫。」


「そっか。じゃあ。擦り傷と手首だな…。」


自己嫌悪に陥っている場合じゃない。

「よし、行こう。」


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