カタチのないセカイの為に
携帯電話を耳に近づける健吾。

「もしもし?お前、今、何処?」


「あー。」


「おう。」


「あー。 驚かせんなよ。」

「おっ。分かった。」



電話を切ると健吾が立ち上がる。

「階段の上に居てってさ。」


理子が、肯く。

「電気つけたの、優潤?」

「そう、みたいだよ。」


「良かった。びっくりしたわ。」

忠君も、駆け寄ってくる。



階段は広く、十段位しかない。



三人は、階段を上り始めようとすると、

階段を上りきる所にある、大きな窓が開いた。


『ガラガラガラガラ……。』

開いた大きな窓枠の中に優潤がいた。

そして、優潤は叫ぶ。


「ごめんなぁー!」

そう言うと、優潤は、別荘の中に戻った。








家具が殆ど無い部屋のフローリングに
ちょこんと座らされた美咲が言う。


「優潤?」

「ん?どうした?」





「懐かしい感じがするね。」
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